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●感染症
感染症とは、細菌やウイルスなどの病原体が体内に侵入して増殖し、発熱、下痢、咳等の症状が出ることをいいます。感染症は主に、人から人にうつる伝染性感染症と動物や昆虫などから感染する非伝染性感染症があります。
最近では欧米で大きな社会問題となったレジオネラ症や腸管出血性大腸菌O157感染症などが記憶に新しいところです。また、ウエストナイル熱の様に今後日本でも流行の可能性がある感染症もあります。
平成11年4月1日に、旧伝染病予防法に替わり「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」が施行されました。
●レジオネラ
近年、肺炎の様な症状を引き起こし、致命率が極めて高いレジオネラ症と呼ばれる病気が国内でも大きな問題となっています。近年ではアメリカで開かれた在郷軍人大会での集団発生を契機に欧米で大きな社会問題となりました。
レジオネラ属菌はもともと土壌中などに生息する細菌ですが、ビルの屋上などに設置されている冷却塔が主な感染源のひとつといわれています。また、温泉水や循環風呂(24時間風呂)なども感染源のひとつとして指摘されています。
どのビルでもレジオネラ症発生の可能性があり、冷却塔を適切に維持管理する必要があります。その為には冷却塔本体の内部を充分に洗浄する清掃作業を頻繁に実施するとともに、冷却水の交換や、必要に応じて消毒するなど水質管理に留意する事が重要です。
●腸管出血性大腸菌O157
大腸菌は,家畜やヒトの腸内に存在するもので、そのほとんどは無害ですがいくつかのものは下痢などの消化器症状や合併症を起こすことがあり、病原性大腸菌と呼ばれています。病原性大腸菌は現在その病原因子により、5種類に分けられています。腸管出血性大腸菌はその中のひとつであり、志賀毒素(べロ毒素)を産生する大腸菌すべてをいいます。 また、大腸菌のO血清型は多くの型があり、O157はそのうちのひとつの血清型という事になります。
O157は、汚染された食品などを通して感染します。腸管出血性大腸菌に感染した場合、健康な成人であれば無症状で経過することもありますが、子供や老人では発症する危険が高くなります。症状は下痢が主で血便となることもあります。なかには溶血性尿毒症症候群(HUS)を併発し、この場合致死的経過をとることがあります。早期に治療を開始すれば、HUSを起こす危険を減らすことができると言われており、早期に診断することが重要です。
O157は口からしか感染しませんので食品の衛生管理や日常の手洗いを徹底すれば予防は可能です。
●ウエストナイル熱
ウエストナイル熱は、我が国において感染例は認められていませんが、現在特に米国及びカナダで患者及び死亡者が増加し、大きな社会問題となっている感染症です。
主に蚊を介して人に感染します。感染例の約80%は不顕性感染に終わり、発症した場合多くは急性熱性疾患であり、短期間(約1週間)に回復します。一般的に、3~6日間程度の突然の発熱(39度以上)、頭痛、背部痛、筋肉痛、筋力低下、食欲不振などがみられます。
治療は特効薬がないため対処療法になります。予防のためのワクチンは未だ開発中で、利用できるものは残念ながらまだありません。現在の有効な予防対策は蚊に刺されないことです。また、北米の流行では従来と異なり、感染鳥の発病や死亡率、ウマと人における流行、重篤な脳炎患者の発生が顕著であると言われています。
いずれにせよ、新興感染症・輸入感染症として今後注意が必要な感染症です。